変形性股関節症の原因は年齢だけじゃない|症状・痛みの特徴を分かりやすく解説

  • 靴下を履くのがツラい。
  • 股関節の軟骨がすり減る原因は?
  • 歩くのがツラいので杖を使ってもいい?

 

こんなお悩みありませんか?

 

変形性股関節症は「歳のせいだから仕方ない」と思われがちですが、実はそれだけでなく、過去のケガや姿勢のクセ、繰り返し動作など、さまざまな要因が複雑に絡んで発症・進行します。

 

症状が進行すると、階段の上がり下りがツラかったり、かがむ動作が出来なくなり、日常生活に大きく影響することもある。

 

本記事では、変形性股関節症の症状と原因、進行を防ぐための日常生活のポイントや、手術が必要になるケース、正しい対処法まで、幅広く分かりやすく解説していますので、ぜひ、最後まで読んでください。

 

それでは、さっそく見ていきましょう。

 

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変形性股関節症の原因

変形性股関節症の原因

変形性股関節症の原因は、次の通りです。

 

  • 骨盤・腰椎の問題
  • 繰り返しの動作
  • 背骨のゆがみ
  • 臼蓋形成不全
  • 股関節唇損傷

 

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

 

骨盤・腰椎の問題

股関節は、「骨盤・腰椎」とセットで動きます。

 

例えば、立って足上げをする運動では、股関節90°以上の屈曲では、骨盤・腰椎の動きが加わります。

 

つまり、骨盤・腰椎が動いていないと股関節に負担がかかり軟骨がすり減る原因となります。

 

骨盤・腰椎の動きが悪くなる原因は、次の通りです。

 

  • デスクワーク(仙骨座り)
  • 中腰での作業

 

などがあります。

 

▶︎関連記事:股関節に負担をかけない座り方

 

繰り返しの動作

繰り返しの動作では、次のようなものがあります。

 

  • 工場でペダルを踏む
  • 横すわり(保育士)
  • スポーツ

 

一回の動きは軽度でも、長い期間、繰り返すことで、軟骨のすり減りを起こす原因となることがあります。

 

背骨の歪み

上記でお話しした、座り方の問題・繰り返しの動作により、背骨に歪みを作ると、歪んだ方に体重がかかり軟骨がすり減る原因となります。

 

また、側湾と言われる背骨の病気でも同じように、歪んだ方に体重がかかり、軟骨がすり減る原因となります。

 

側湾の人の特徴は、次の通りです。

 

  • アゴがガクガクと鳴る。
  • 歯並びに問題がある(歯科矯正)
  • 左の首ばかり寝違えになる。
  • 左の腰が張る。
  • ぎっくり腰を繰り返す。
  • 肩の高さが違う。
  • 左の鎖骨が出っぱっている。
  • 小学生のときに水泳をしていた。

 

側湾といっても、明確に背骨の歪みが見ないものもあるので、見極めが難しいところもあります。

 

臼蓋形成不全

臼蓋形成不全は、股関節の受けとなる骨盤側の骨のかぶりが浅い状態のもの。

 

臼蓋形成不全では、股関節の可動域制限が起こり、次第に軟骨がすり減り、変形性股関節に進行していく方が多いです。

 

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股関節唇損傷

股関節唇は、骨盤の縁を囲む軟骨組織で、股関節の安定性を保つ重要な役割を担っています。

 

股関節唇は、関節内の圧を保ち、潤滑液を保持する「パッキン」のような働きをしており、スムーズな動きをサポートします。

 

股関節唇が損傷する原因は、次の通りです。

 

  • 繰り返しの動作
  • 臼蓋形成不全
  • 過去のケガ
  • 筋力低下
  • スポーツ

 

スポーツでは踏み込む、ジャンプする動作が多い競技に股関節痛を起こすことが多いです。

 

また、競技を長期間(5年以上)行うことで、股関節にトラブルを起こす原因を作り、競技をしなくなった後に股関節唇損傷・変形性股関節症として症状が現れることもあります。

 

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変形性股関節症の症状

変形性股関節症の症状

変形性股関節症で起きる症状は、次の通りです。

 

  • 股関節の可動域制限
  • 周辺筋肉の痛み
  • 動き始めの痛み
  • 夜間痛

 

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

 

股関節の可動域制限

変形性股関節症では、軟骨がすり減り股関節の可動域制限が起きます。

 

股関節の可動域制限が起きることで、次のような症状が起こります。

 

  • 靴下が履きにく
  • 足の爪を切るのがツラい
  • お風呂の浴槽をまたぐのがツラい
  • 階段がツラい
  • 自転車を漕ぐのがツラい

 

軟骨のすり減りが進行すると、日常生活の大きな支障を及ぼします。

 

周辺筋肉の痛み

上記でお話ししたように、変形性股関節症では、軟骨がすり減り股関節の可動域制限が起きます。

 

すると、周辺の筋肉に負担がかかり、筋肉の痛みが起きます。

 

腰・お尻・太もも・膝と広い範囲で筋肉の痛みが起きます。

 

動き始めの痛み

動き始めの痛みは、上記でお話しした、股関節唇の損傷や、筋力低下による股関節の不安定で起こります。

 

夜間痛

夜間痛とは、夜寝ると股関節に痛みやうずきを感じる症状です。

 

夜間痛が起きる仕組みは、次の通りです。

 

→日中に股関節に負担がかり炎症が起こる
→寝転がると股関節内の「圧」が弱まり痛みを感じやすくなる。
→寝るときは副交感神経が優位で痛みを感じやすい。

 

変形性股関節症は手術をしないといけない?

変形性股関節症 手術

変形性股関節症と診断されたからといって、直ぐに手術しないといけないワケではありません。

 

まず、保存療法(生活習慣の改善、痛み止めの服用、運動療法など)から始めるのが一般的です。

 

保存療法を行うことで、股関節の動きを維持し、進行を遅らせることが可能です。

 

一定期間の保存療法を続けても痛みが強く、歩行が困難になったり、日常生活に大きな支障が出てきた場合は、手術が検討されます。

 

●手術を検討すべきタイミング

  • 日常生活に大きく支障が出ている
  • 関節の隙間が完全に消失している
  • 痛みで運動やリハビリができない
  • 保存療法で改善がみられない

 

手術には入院やリスクが伴うため、生活状況や症状の程度に合わせて、慎重に検討することが大切です。

 

また、医師によって見解が違うので、セカンドオピニオンとして複数の医師の意見を聞くことも大切です。

 

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変形性股関節症でやってはいけないこと

変形性股関節症でやってはいけないこと

変形性股関節症で、やってはいけないことは、どんなことがあるのか、詳しく見ていきましょう。

 

ストレッチをやり過ぎない

股関節が痛いのは、「股関節が硬いからだ」と思い、ストレッチをやり過ぎないようにしましょう。

 

軟骨がすり減って、可動域が狭くなっている状態で、無理にストレッチをすると、筋肉や関節を傷めてしまうことがあります。

 

ストレッチをするなら、体を動かしなら筋肉を動かす、「動的ストレッチ」をするのがいいでしょう。

 

ストレッチについては、「ストレッチのやり過ぎはNG」の記事をご覧ください。

 

過度の安静

「股関節が痛いから」「これ以上、軟骨がすり減ると困る」と言って、過度の安静にしないよにしましょう。

 

安静が続くと、股関節周辺の筋肉や靭帯が弱り、股関節の負担が大きくなります。

 

もちろん、無理するのはよくないですが、股関節が痛いからといって、過度の安静にならないように注意しましょう。

 

仙骨座り

イスに浅く腰かけて背中を丸める、「仙骨座り」はNGです。

 

仙骨座りは、上記でお話しした、「骨盤・腰椎が動かなる」原因になります。

 

正しく座ることが、結果、股関節への負担を軽減することができます。

 

坐骨で座る

 

 変形性股関節症|杖を使ってもいい?

 変形性股関節症 杖を使ってもいい?

変形性股関節症で、歩くのがツラくても、できるだけ杖は使わない方がいい

 

理由は、杖を使い続けると、身体が「3本脚」のバランスに慣れてしまい、杖がないと歩けなくなるからです。

 

また、杖を頼りにし過ぎることで、筋力の低下や歩行バランスが崩れる可能性もあるので、必要以上に頼らないことが大切です。

 

旅行やお出かけなど、一時的に杖を使うのはOKですが、「杖に頼りの生活」は避けましょう。

 

もし杖を使う場合は、期限を決めて使用するようにして、計画的に活用するようにしましょう。

 

▶︎関連記事:変形性股関節症とノルディックウォーキング

▶︎関連動画:歩くのが痛いので杖を使っていい?

 

 杖を使うメリットとデメリットを整理しよう

杖を使うメリット・デメリットを見ていきましょう。

 

●杖を持つメリット

  • 痛みが軽減できる
  • 歩行時の安定性が増す
  • 外出時の不安を軽減できる
  • 遠くの物を引き寄せられる(孫の手代わり)

●杖を持つデメリット

  • 杖なしでは歩けなくなる可能性がある
  • 3本脚のバランスに慣れてしまう
  • 歩行時の体重バランスが崩れる
  • 手首や肩が痛くなる
  • 猫背になる
  • 荷物が増える

 

これらを踏まえて、杖の使用を検討しましょう。

 

 変形性股関節症|温める?冷やす?

 変形性股関節症 温める?冷やす?

変形性股関節症で、痛みがあるときは、冷やした方がいい

 

理由は、痛みの主な原因が、「関節内の炎症」だからです。

 

炎症があるときに、温めると血流が増えて、さらに炎症が強くなり、痛みが増す可能性があります。

 

そのため、痛みが強いときは、冷却し炎症を抑えることが大切です。

 

冷却するときは、「氷水で患部を20分ほど冷やす→1時間休む」を繰り返す方法が効果的です。

 

「冷やすと筋肉が硬くなるのでは?」「温めたほうが筋肉がほぐれて良いのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、変形性股関節症の痛みの主因は炎症です。

 

まずは、炎症を抑えることを優先し、痛みが落ち着いてから、少しずつ体を動かすようにしましょう。

 

冷却の仕方については、「冷却が大切な理由」の記事をご覧下さい。

 

 変形性股関節症|寝返りが痛いときの対処法

変形性股関節症 寝返りが痛い

変形性股関節症で、「寝返りが痛くて寝られない」「上向きで寝るのがツラい」、そんな時の対処法についてお話ししていきます。

 

寝返りや上向で寝るのがツラいのは、股関節や腰骨の可動域が低下し、動きがスムーズにできなくなることが原因です。

 

対策としては、膝下や背中にバスタオルを丸めて入れるのがおすすめです。

 

また、寝る前に「腰伸ばし運動」「ハイハイ運動」などで、股関節と腰を動かすストレッチを取り入れると効果的です。

 

ぎっくり腰の寝方 膝下にタオルを入れる

 

ぎっくり腰の寝方 タオルを入れる

 

▶︎関連動画背骨をしなやかにする運動

▶︎関連動画:ハイハイ運動

 

 変形性股関節症|サポーターを着けた方がいいの?

変形性股関節症 サポーター

変形性股関節症で、歩くのがツラくてもサポーターは出来るがけ付けない方がいい

 

理由は、サポーターが根本的な改善にはつながらないからです。

 

サポーターを着けると、股関節周辺が安定して歩くのが楽になったり、痛みを和らげるメリットがあります。

 

しかし、サポーターはあくまで「支える道具」であり、症状の根本改善にはつながりません。

 

むしろ、サポーターに頼りすぎると筋力低下を招き、サポーターなしでは歩けなくなる可能性があります。

 

そのため、サポーターは痛みが強い時期外出時の補助具として、一時的に使うのが理想的です。

 

サポーターを着けるときの注意点

もしサポーターを使う場合は、次のポイントを意識しましょう。

 

  • 期間を決めて装着する(例:外出時のみ、家では外す)
  • 症状が落ち着いてきたら外す
  • 筋力低下を防ぐために、並行して股関節周囲の運動を行う

 

こうした工夫をすることで、サポーターに頼りの体にならずに、過ごすことができます。

 

股関節のサポーターについては、「股関節痛とサポーター」の記事をご覧ください。

 

変形性股関節症の症状・原因(まとめ)

変形性股関節症は、年齢だけでなく「姿勢のクセ」「過去のケガ」「繰り返しの動作」など、さまざまな要因が重なって発症・進行する疾患です。

 

本記事では、痛みの原因や症状だけでなく、「ストレッチのやりすぎNG」「杖やサポーターの使い方」「寝返りがツラいときの対処法」など、日常生活の中で注意したいポイントを詳しく解説しました。

 

特に「靴下が履けない」「歩くのがつらい」「夜にズキズキ痛む」といった症状は、進行のサインかもしれません。

 

そのような状態でも、正しい知識と適切な対処法があれば、手術を避けて快適な生活を送ることも可能です。

 

「手術を回避したい」「自分でできる対策を知りたい」とお考えの方は、ぜひ本記事の内容を参考に、日々の生活に取り入れてみてください。

 

 

この記事の執筆者

しらひげ鍼灸整骨院 白髭勝博

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