- 変形性股関節症になるのは年のせい?
- どうして軟骨がすり減る?
- 変形性股関節症と言われたらどうしたらいい?
そんな変形性股関節症の原因や特徴について、分かりやすく解説しますので、ぜひ、最後まで読んで下さい。
それでは、さっそく見ていきましょう。
\股関節症でお悩みの方必見/
原因・対処法などを解説
変形性股関節症の症状(特徴)
変形性股関節症は軟骨がすり減ることで、股関節の可動域が狭くなり、特徴的な症状が現れます。
具体的には次のようなものがあります。
●変形性股関節症の症状
- お風呂の浴槽をまたぐのがツラい
- 足の爪の切るのがツラい
- 足裏の外側にタコがある
- 靴下を履くのがツラい
- しゃがめない
- 低いイスから立ち上がれない
- 靴を履くのがツラい
- 階段の上がり下りがツラい
- 足の長さに左右差が出る
- 自転車をこぐのがツラい
- 股関節がボキボキと音がする
- 体を左右に振るように歩く
腰骨の変形でも同じような症状が出る
上記の変形性股関節症の症状は「腰骨の変形」でも、同じような症状が現れることがあります。
上記のような症状がある場合は、整形外科を受診し「股関節」と「腰」のレントゲン検査を受けて、どれぐらい軟骨がすり減っているのか、どの場所がすり減っているのかを確認しましょう。
変形性股関節症の原因
変形性股関節症は急に起こるものではなく、長い年月をかけて徐々に進行していきます。
原因はさまざまで、私が臨床の現場で遭遇するのは次のようなものがあります。
●変形性股関節症の原因
- 腰骨の変形
- 臼蓋形成不全
- 繰り返しの動作
- 背骨のゆがみ
- スポーツ歴
- 過去のケガ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
腰骨の変形
腰骨の変形はデスクワークで座りっぱなしの方に多い。
特徴としては骨盤を立てて座ったときに、腰の骨の出っ張りを触れます。
腰骨の変形により骨盤が上手く動かず、合わせて股関節も上手く動かないことで負担がかかり、変形を起こす原因となります。
▶︎関連記事:デスクワークで股関節痛?
臼蓋形成不全
臼蓋形成不全は股関節の受けとなる骨盤側の骨がかぶりが浅い状態のものです。
臼蓋形成不全でも股関節の痛みを起こすことが多く、症状のケアをせず放置しておくと、軟骨のすり減りが進行し変形を起こす原因になります。
▶︎関連記事:股関節臼蓋形成不全の原因について
繰り返しの動作
繰り返しの動作では次のようなものがあります。
●変形性股関節症を起こす繰り返しの動作
- 工場でペダルを踏む
- 横すわり(保育士)
背骨のゆがみ
背骨のゆがみは「側わん」と言われるもので、ここでの「側わん」とは病院で診断されるものではなく、側わんの傾向があるものを言っています。
側わんが原因の股関節痛では、左の股関節に症状を起こすのが特徴です。
理由は、骨盤が左に傾き、左の股関節に負担がかかるからです。
側わん傾向の人の特徴としては次のようなものがあります。
●側わん傾向の人の特徴
- アゴがガクガクと鳴る
- 左の首ばかり寝違えになる
- 左の腰が張る
- ぎっくり腰を繰り返す
- 肩の高さが違う
- 左の鎖骨が出っぱっている
- 小学生のときに水泳をしていた
スポーツ歴
スポーツでは踏み込む、ジャンプする動作が多い競技に股関節痛を起こすことが多い。
具体的には次の競技です。
●変形性股関節症を起こしやすい競技
- 剣道
- バドミントン
- テニス
- 陸上
- バレー
また上記のような競技を長期間(5年以上)行うことで、股関節にトラブルを起こす原因を作り、競技をしなくなった後に変形性股関節症として症状が現れるのも特徴です。
▶︎関連記事:スポーツと股関節痛について
過去のケガ
過去のケガもスポーツと同じように、ケガをしたそのときに変形性股関節症を起こすのではなく、ケガが股関節痛を起こす原因を作り、長期間、放置することで変形性股関節症へと進行していきます。
具体的なケガは次のようなものがあります。
●変形性股関節症の原因となるケガ
- 階段から落ちる
- 繰り返しの足首の捻挫
- 自転車での転倒
- 交通事故
- 登山時の滑落
上記のケガ以外にも、お尻や股関節を強く打つケガは注意しないといけません。
変形性股関節症で「痛み」が出やすい場所
変形性股関節症で痛みが出やすいです場所は、次の通りです。
●変形性股関節症で痛みが出やすいです場所
- 股関節の奥の方が痛い
- 太ももの痛み
- お尻の痛み
- 膝(膝に水が溜まる)
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
股関節の奥の方が痛い
変形性股関節症は軟骨がすり減る病気です。
軟骨がすり減ると骨と骨がぶつかります。
すると、股関節の奥の方に痛みを感じます。
太ももの痛み
太ももに痛みが起きるのは、次の3つのタイプがあります。
●太ももに痛みが起きる次の3つのタイプ
- 前側タイプ
- 内側タイプ
- 外側タイプ
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
前側タイプ
股関節が少し曲がった状態で固まっていると、太ももの前側に痛みが出やすくなります。
デスクワークや前かがみの仕事をされている方に多く、上向きで寝た時に脚を伸ばすツラかったりもします。
▶︎関連記事:どうして仰向けに寝ると「股関節が痛い」?
内側タイプ
内側タイプの特徴は太ももが内に向いた状態。
具体的には、脚を伸ばして上向きで寝た時につま先が内側を向いている状態。
これは内転筋(ないてんきん)と言われる筋肉に負担がかかり痛みを起こしています。
外側タイプ
外側タイプの特徴は、ガリ股で脚を伸ばして上向きで寝た時に、つま先が外に向いている状態。
外体重になっているので、太ももの横の筋肉に負担がかかりやすくなっています。
靴底の外側がすり減りやすい方に起きやすい。
▶︎関連記事:足の付け根の外側の痛みの原因と対処法
お尻の痛み
変形性股関節症ではお尻にも痛みを感じやすくなります。
なぜなら、股関節が変形していることで歩行時のバランスが悪く身体を支えるのに、お尻の筋肉を使からです。
また、椅子から立ち上がる時も股関節にしっかりと体重が乗らないため、お尻の筋肉に負担がかかり痛みを起こしやすい。
膝(膝に水が溜まる)
股関節が変形していることで、膝にも必要以上に負担がかかります。
例えば、股関節には身体を支える役割があります。
しかし、軟骨がすり減って身体を上手く支えられないと、その負担が「膝」へと及びます。
悪化すると、膝に炎症ができて「水が溜まった状態」になります。
膝に水が溜まる場合は、膝のお皿のやや外上に、「痛みや腫れがある」、「膝の皮フにシワが無い状態」だと、水が溜まりやすい状態になっているので注意です。
もし、水が溜まったら「氷みず」で冷やすようにしましょう。
▶︎関連記事:膝に水が溜まる場所と症状
変形性股関節症の好発年齢
変形性股関節症の好発年齢は55才以降に多い。
これは私が臨床の現場で患者さんを診ていて感じる感覚なので、一概には言い切れないところもありますが、50歳中ごろまではそれほど変形が進んでいる感じはない。
ただし、股関節臼蓋形成不全やスポーツ・仕事で繰り返し使う方には、40歳後半で変形が感じられることもあります。
変形性股関節症の対処方法
変形性股関節症は改善するというよりも、症状を進行させないようにすることが大切です。
症状を進行させないようにどんなことに気を付けたらいいのか、さっそく見ていきましょう。
ウォーキングシューズ
脚のトラブルにウォーキングシューズは欠かせません。
変形性股関節症では軟骨がすり減ることで、歩行時の衝撃が股関節にかかりやすくなります。
ウォーキングシューズはクッション性に優れているので、歩行時に股関節にかかる衝撃を軽減してくれます。
なので、変形性股関節症の方は日常生活でウォーキングシューズを履くようにしましょう。
▶︎関連記事:股関節に負担のかからない「靴の選び方」
座り方
変形性股関節症で痛みなどの症状がではじめると、だんだんと楽な姿勢で座る習慣がつきます。
楽な姿勢では腰が曲がった姿勢で座ることが多く、腰骨の動きを悪くする原因になります。
腰骨の動きが悪くなると変形性股関節症を進行させる要因になります。
なので、座るときは骨盤を立てて背筋を伸ばした姿勢で座るようにしましょう。
▶︎関連記事:股関節に負担をかけない座り方
▶︎関連動画:骨盤を立てた座り方
体を動かす運動
体を動かす運動では、「股関節」と「腰骨」が動く運動がおすすめ。
具体的には「背骨を伸ばす運動」「ハイハイ運動」がおすすめです。
どちらも股関節、背骨を同時に動かせる運動で簡単にできるので、ぜひ、やってみて下さい。
▶︎関連記事:背骨をしなやかにする運動を解説
変形性股関節症でやってはいけないこと
変形性股関節症で注意しないといけないポイントについてみていきましょう。
安静にし過ぎない
変形性股関節症では「痛み」に加えて可動域の減少により「動きづらさ」が出ます。
すると、日常生活の活動量が減ってしまいます。
活動量が減ることで股関節や腰骨の動きが硬くなりさらに動きにくくなるという悪循環になり、症状を進行させる要因になります。
なので、「動いたら余計に悪くなる」「無理すると軟骨がなくなる」と言わずに、日常生活の活動量は減らさないようにしましょう。
▶︎関連動画:股関節が痛いのは歩き方が変だから?
ストレッチをやり過ぎない
ストレッチや柔軟体操など、筋肉を伸ばす運動をやり過ぎないようにしましょう。
変形性股関節症では軟骨がすり減り、股関節の可動域が減っています。
可動域が減っている状態で筋肉を伸ばす運動すると、筋肉を伸ばすことだけに意識がいき、無理に伸ばしで症状を悪化させることがあります。
実際に、当院にも症状を改善しようとしてストレッチやヨガをしたら悪化したという方もたくさん来られます。
▶︎関連記事:股関節痛のときにやってはいけない運動
一発逆転を狙わない
股関節の痛みを少しでも軽減したい、日常生活を少しでも良くしたい気持ちは十分にわかります。
しかし、一瞬で良くなることはなかなかありません。
上記で解説したように変形性股関節症は長い時間をかけて徐々に進行します。
また、すり減った軟骨も基本的には戻ることはありません。
なので、一発逆転を狙ってすぐに成果を求めないようにしましょう。
変形性股関節症は手術しないといけない?
変形性股関節症と言っても、症状や原因はさまざまです。
変形性股関節症と診断されたからといって、直ぐに手術しないといけない訳ではありません。
先ずは、どんな状態なのかを理解して、症状と正しく向き合うことが大切です。
そうした中で、年齢、状態、生活環境など、さまざまな要因を踏まえて、決めていかなければなりません。
変形性股関節症の手術についてさらに詳しく知りたい方は、「変形性股関節症と言われたら手術をしないといけない?」の記事をご覧ください。
変形性股関節症で歩くのがツラい時は「杖」を持ってもいい?
痛みが強くなってくると、歩くのも大変で杖を持ちたくなりますよね。
しかし、杖を持つことで3本脚での歩行に身体が慣れてしまうと、杖がないと歩けなくなってしまいます。
状態や状況にもよりますが、できる限り持つべきではないと考えます。
もしくは、期限を決めて持つ方がいいでしょう。
●杖を持つメリット
- 痛みが軽減できる
- 歩くのが楽になる
- 出かけるときの不安を解消できる
- 遠くのものを近くに寄せられる(孫の手のかわり)
●杖を持つデメリット
- 手放せなくなる
- 3本脚のバランスに慣れる
- 歩行時の体重バランスが変わる
- 手首や肩が痛くなる
- 猫背になる
- 出かけた時に荷物が増える
変形性股関節症は「温める」方がいい?
変形性股関節症の痛みがある場合は、「温める」のがいい?「冷やす」のがいい?と、迷われる方もいるはず。
結論、「冷却」をするようにしましょう。
具体的には骨や軟骨は「たんぱく質」でできています。
たんぱく質は熱に弱く熱を加えると状態が変わってしまいます。
なので、変形性股関節症で痛みがある時は、冷却をするようにしましょう
▶︎関連記事:冷却」が大切な理由
変形性股関節症で寝返りが痛くて寝られない時に対処法
変形性股関節症で寝るのがツラいのは、次の2通りがあります。
●変形性股関節症で寝るのがツラい場面
- 寝返りするのが痛い
- 上向きで寝るのが痛い
それそれ、見ていきましょう。
寝返りするのが痛い
寝返りするのが痛いのは、股関節や腰骨の可動域が低下しているからです。
対処法としては横向きに寝たときに背中にタオルを入れて、もたれかかるように寝ると楽になります。
また、根本原因は関節の可動域が低下していることなので、上記で解説したハイハイ運動や腰を伸ばす運動で身体を動かすことも大切です。
上向きで寝るのが痛い
上向きで寝るのが痛い時は、膝の下にタオルを入れると楽になります。
上向きで寝るのが痛いのは、股関節や腰が曲がった状態で固まっています。
膝の下にタオルを入れることで、股関節や腰を伸ばしきらず、やや曲がった状態で寝ることができます。
▶︎関連記事:どうして仰向けに寝ると股関節が痛い?
変形性股関節症のときはサポーターをした方がいい?
変形性股関節症のときは、サポーターをした方はいい?と思う方もいます。
サポーターは、できるだけ着けない方がいい。
確かに、サポーターを着けると関節が安定して楽になります。
しかし、症状を改善するものではありません。
もし、サポーターを着けるなら、期間を決めて期間限定で装着するなど工夫しましょう。
▶︎関連記事:股関節痛を改善するのにサポーターをした方がいい?
変形性股関節症のまとめ
いかがでしたか?
変形性股関節症は股関節の軟骨がすり減り、可動域が減ることで「足の爪を切るのがつらい」「しゃがめない」「体を振りながら歩く」など日常生活に支障をきたします。
原因は「腰からの影響」「臼蓋形成不全の影響」「繰り返しの動作」などさまざまで、長年の時間をかけて徐々に進行していきます。
症状を進行させないためには、「靴の見直し」「座り方を気を付けつる」などが大切。
変形性股関節症は時間をかけて徐々に進行するので、改善するのも徐々になので、一発逆転を狙わずコツコツ改善していきましょう。
股関節痛でお悩みの方の参考になれば幸いです。