「イスに座るだけで股関節がズキッと痛む」「長時間のデスクワークがつらい」と感じていませんか?
実は、その座り方が知らず知らずのうちに股関節に負担をかけているかもしれません。
本記事では、股関節に負担をかけない正しい座り方のコツや、避けたいNG姿勢、椅子やクッションの選び方などを詳しく解説します。
股関節痛を改善して行く中で「ストレッチや運動」が「攻め」なら、「正しい座り方」は「守り」。
スポーツの世界でも守備はスポットライトが浴びにくいですがやはり重要。
股関節痛でお悩みの方の身体を守る力(守備)が上がるように整体歴25年の私が、分かりやすく解説しますので、ぜひ、最後まで読んでください。
それでは、さっそく見ていきましょう。
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股関節に負担をかけない正しい座り方
股関節に痛みがある方、変形性股関節症や臼蓋形成不全をお持ちの方にとって、「どう座るか」は日常生活に直結する大切なテーマです。実は、座る姿勢を少し意識するだけで、股関節への負担を大幅に軽減することが可能です。
ここでは、今日から取り入れられる「股関節に負担をかけない座り方」をご紹介します。
骨盤を立てる・足裏を床につける基本姿勢
正しい座り方の基本は、「骨盤を立てる」、「足裏をしっかり床につける」ことです。
骨盤を立てると、腰が前に軽く反る自然な状態になります。
ソファに深く沈み込んだ姿勢や、背もたれにダラっともたれる姿勢は、骨盤が後傾し、股関節の動き悪影響を及ぼします。
足裏が床につく高さの椅子を選ぶことで、重心が安定し、太ももや骨盤に余計なストレスがかかりません。
この2つのポイントを押さえることで、腰・骨盤・股関節にかけて負担が少なく、痛みの悪化を防ぐ姿勢が保てます。
脚は軽く内股にするのがポイント
意外かもしれませんが、脚はほんの少し内股気味にするのがコツです。
この姿勢は、骨盤を立てやすくし、背筋が自然に伸びる構造的な動きに繋がります。
正面から見て「膝とつま先が正面~やや内側を向く」くらいがちょうど良いポジションです。
反対に、外股やガニ股の姿勢は骨盤が後継し、腰に負担がかかり股関節に悪影響を及ぼします。
とくに椅子に座るときは、無意識でも内股気味になるよう意識すると、骨盤が安定しやすくなります。
あごの位置と頭の重さを意識しよう
座り姿勢の中で見落としがちなのが「頭と顎の位置」です。
頭は大人で約4〜5kgあると言われており、少しでも前に出ると、首や背骨、そして骨盤にまで余計な負担がかかります。
あごを軽く引き、首がまっすぐ伸びるよう意識することで、頭の重さが股関節に伝わりにくくなります。
この状態は、骨盤の真上に頭が乗る理想的なバランスとなり、長時間の座位でも疲れにくくなるのが特徴です。
また、ストレートネックの予防にもつながるため、デスクワークの多い方は特に意識したいポイントです。
股関節に負担がかかる座り方とは?
「座るだけで股関節がズキッと痛む」「長時間のデスクワークがつらい」、そんな悩みを抱えている方は、日常的に無意識のうちに股関節に負担がかかる座り方をしているかもしれません。
まずは、避けるべきNG姿勢を理解することが、痛みを予防し悪化を防ぐ第一歩です。
脚を組む・ぺちゃ座り・横座りのリスク
脚を組んで座るクセは、一見楽な姿勢に見えても、骨盤や股関節に大きな歪みを生み出します。
左右交互に組み替えても歪みがリセットされるわけではなく、むしろ複雑なバランスの崩れを招きます。
また、ぺちゃ座り(女の子座り)や横座りは、股関節に過度な内旋・外旋ストレスを与えます。
腰が丸まると股関節にも影響する理由
「背もたれにもたれて腰が丸くなる」、この姿勢は「骨盤が後傾」し股関節の動きも連動して制限されてしまいます。
腰がずり落ちるような姿勢は、椅子に長時間座る人にありがちな姿勢ですが、この状態が続くと股関節周囲の筋肉がうまく働かず、動きの滑らかさが失われていきます。
加えて、腰椎や骨盤の歪みが進むことで、神経を圧迫し坐骨神経痛などを併発することもあります。
関連動画:デスクワークでする良くない姿勢
NG姿勢が引き起こす体のゆがみ
NG姿勢がクセになると、股関節だけでなく、背骨・骨盤・膝・足首と全身に歪みが波及します。
特に股関節は身体の「要」となる関節で、ここが不安定になると歩き方や立ち上がり動作にも影響します。
結果として、「階段の上り下りがつらい」「歩き出しで痛む」といったトラブルが起こりやすくなります。
正しい姿勢を意識するだけで、こうした不調を未然に防ぐことが可能です。
椅子の選び方|股関節にやさしい椅子の条件
「どんな椅子を選べば股関節に負担がかからないの?」、そんな疑問を抱えている方は非常に多いです。実際、毎日座る椅子の種類や高さが、股関節痛や違和感に大きな影響を与えることをご存じでしょうか?
ここでは、股関節にやさしい椅子の選び方を具体的にご紹介します。
高さが調整できることが最重要
椅子選びでまず重視すべきは、座面の「高さ調整」ができるかどうかです。
- 座ったときに膝が90度に曲がる高さが理想
- 座っている時は「骨盤」と「足裏」で体を支える
低身長で足裏が床につかないときは、フットレストや台を使って調整すると良いでしょう。
沈み込まない・硬めの座面がベスト
椅子の座面は、硬めで沈み込みにくいタイプを選ぶのが基本です。
- クッション性が高すぎる座面は、骨盤が安定せず背中が丸まりやすくなる。
- 骨盤が後傾すると、腰・骨盤・股関節に負担がかかる。
- 硬めの座面は「正しい姿勢」が取りやすく、インナー筋も自然に使える。
長時間座っても姿勢が崩れにくい硬さがポイント。
オフィスチェアやダイニングチェアは、座面の素材や反発力も確認しておきましょう。
ビーズクッションやローソファの落とし穴
「家ではリラックスしたいから」と、ビーズクッションやローソファを使っていませんか?
実はこれが、股関節痛を招く落とし穴。
- 深く沈み込むビーズクッションは、骨盤が極端に後ろに倒れてしまう。
- ローソファは腰への負担が大きく股関節に悪影響を及ぼす。
もちろん、くつろぎたい気持ちも大切ですが、「姿勢が崩れる椅子」=「関節に負担がかかる椅子」ということを意識しましょう。
クッションの使い方と選び方
股関節に負担をけけない座り方を意識するうえで、クッション選びは非常に重要なポイントです。「正しい姿勢を保てるようにサポートしてくれるもの」「逆に使い方次第で負担が増えるもの」など、選び方ひとつで股関節の状態は大きく変わります。
ここでは、おすすめのクッションタイプとNGポイントをわかりやすく解説します。
柔らかすぎるクッションはNG
ふわふわで座り心地の良いクッションは、一見体に優しそうに見えますが、股関節のことを考えると要注意です。
- 柔らかすぎると骨盤が安定せず、背中が丸まりやすくなる。
- 結果的に骨盤が後傾して股関節の負担になる。
クッションは、「反発力のある硬め素材」がベスト。
骨盤をしっかり支えつつ、正しい姿勢を保てるものを選びましょう。
骨盤矯正系クッションの注意点
最近では、腰や骨盤を矯正することを目的としたクッション(骨盤矯正チェアやサポートクッション)が数多く販売されています。
しかし、こうしたクッションにも注意点があります。
- 形が矯正されすぎると、自分の筋肉を使わずに姿勢を保ってしまう。
- 一見きれいな姿勢でも、体幹(インナーマッスル)が弱くなる原因になる。
- 長期的には、自力で正しい姿勢を保てない体になってしまう。
矯正クッションを使う場合は、「あくまで補助」として考え、意識的に姿勢を整える習慣を同時に身につけることが大切です。
U字型・円座などおすすめタイプを紹介
股関節にやさしいクッションの中でも、特におすすめなのが以下のタイプです。
●U字型クッション
- 尾骨や仙骨への圧迫を軽減できる
- 骨盤が自然な位置に収まり、姿勢が整いやすい
- 長時間の座位でも疲れにくいのが特徴
●円座クッション(ドーナツ型)
- 中央が空いていることで骨盤の坐骨が安定
- 産後の女性や腰痛持ちの方にも人気
- 適度な硬さを選ぶのがポイント
●カバーが洗えるタイプ
- 毎日使うものなので、衛生面も重要
- 汗や汚れが気にならない素材・仕様を選ぶのが理想的
これらのクッションは、姿勢をサポートしながらも自分の筋肉で座る意識を忘れないことが大切です。
正しく座ることで得られる体へのメリット
ただ「座っているだけ」と思われがちですが、正しい姿勢で座ることは股関節や体全体の健康にとって大きなメリットがあります。
ここでは、正しい座り方を続けることで得られる具体的な効果を3つの視点から解説します。
インナーマッスルが自然に鍛えられる
正しく座ることで、無意識のうちに「インナーマッスル(体幹)」が鍛えられます。
- 骨盤を立て、足裏を床につける座り方は腹横筋や多裂筋などの深層筋を活性化させる。
- 背もたれに頼らずに座ることで、インナーマッスルが働く。
- 日常生活の中でながらトレーニングしている状態になる。
インナーマッスルが強化されると、体の軸が安定し、股関節を含む関節の動きがスムーズになります。
股関節専門医・医学博士のJimmy先生も股関節痛を改善する鍵はインナー筋・腸腰筋が大切(動画)と言われています。
姿勢改善による股関節の安定性アップ
悪い姿勢が股関節の痛みやゆがみの原因になるのは、すでに多くの方がご存知でしょう。
逆に言えば、姿勢が改善されることで股関節の負担が軽減され、安定性が増します。
- 骨盤が正しい位置にあると、股関節の可動域が適正に保たれる。
- 正しい姿勢は、左右の筋肉バランスを整える効果もあり。
- 結果として、歩行・階段・しゃがみ動作がスムーズに。
特に臼蓋形成不全や変形性股関節症など、股関節に不安がある方は「座り方の見直し」が改善の第一歩になります。
ストレートネックや腰痛予防にもつながる
正しい座り方は、股関節だけでなく首や腰にもメリットがあります。
- 頭の重さは約4〜6kg。正しい姿勢なら首や背骨でバランスよく支えられる。
- 姿勢が崩れると首が前に出てストレートネックや肩こりの原因に。
- 背中が丸まった座り方は、腰椎に過剰な負担をかけ腰痛を招く。
「骨盤を立てる→頭の真上に重心を乗せる」この流れを意識することで、首・背中・腰にかかる負担を効率よく分散できます。
Q&A:股関節にやさしい座り方 よくある質問
ここでよくある質問にお答えしていきます。
Q1.「骨盤を立てる」の感覚が分かりません。簡単なチェック方法は?
背もたれから少し離れて座り、両手を腰に当ててみましょう。腰が“前に軽く反る位置が骨盤が立った状態。背中が完全に丸まったり、反り過ぎたりしない“中間点を探すのがコツです。
Q2. 「脚を内股」にすると O脚になりませんか?
内股とは膝とつま先を正面よりやや内側に向ける程度。膝を極端に寄せる必要はありません。骨盤が立ちやすくなる角度を探してください。
Q3. 足裏が床につかない低身長の場合は?
フットレストや雑誌を重ねた台で高さを補い、膝が90°になるよう調整しましょう。ブラつく状態は腰に負担がかかります。
Q4. スタンドデスクは便利だけど足が疲れる…対処法は?
30分立ったら5分座るポモドーロ式にすると疲労が分散。足裏が痛い場合は厚めのフロアマットを敷くと楽になります。
Q5. 正しい姿勢をキープするコツは?
スマホのタイマーを30分ごとに設定し、その都度「骨盤―足裏―顎」をチェック。習慣化すると無意識でも姿勢が崩れにくくなります。
まとめ|股関節に負担をかけない座り方
股関節の痛みや不調を感じたとき、「特別な治療が必要」と考える方も多いですが、実は毎日の座り方や椅子選びこそが最初の対策になります。
ここでは、今日から実践できるポイントをまとめてお伝えします。
正しい姿勢×アイテム選びがカギ
股関節にやさしい生活を送るためには、正しい座り方と適切なサポートアイテムの組み合わせが重要です。
- 【座り方】骨盤を立てて座る/脚はやや内股/足裏は床にしっかり。
- 【椅子】高さ調整ができて、沈み込まない硬めの座面。
- 【クッション】柔らかすぎず、形を矯正しないタイプを選ぶ。
こうした小さな積み重ねが、股関節への負担を減らし、痛みの予防や軽減に大きく貢献します。
大切なのは無意識でも正しい姿勢
意識して座っているときだけでなく、無意識のときでも正しい姿勢がキープできる状態をつくることが、股関節ケアのゴールです。
- 正しい姿勢が当たり前になれば、関節のゆがみや筋肉の負担を防げる
- 座り方に気をつけることで、インナーマッスルが自然と働き、股関節が安定する
- 「気づけば楽になっていた」そんな状態を目指しましょう
一度にすべてを完璧にする必要はありません。1日5分の意識から、未来の股関節が変わります。
最後にひとこと
股関節の不調は、日々の姿勢と習慣からじわじわと始まります。
でも逆に言えば、日常を見直すだけで、症状の予防や改善も十分可能です。
「正しく座る」「適切な椅子を使う」「良質なクッションを選ぶ」、今日からできることをひとつずつ取り入れて、股関節にやさしい生活を一緒に始めてみまましょう。
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