「膝が痛いときは、安静にしたほうがいいの?」「変形性膝関節症って歩いても大丈夫?」「どんな靴を選べば膝にやさしいの?」、そんなお悩みを抱えていませんか?
●本記事のポイント
- 安静にすべき膝痛と動いていい膝痛の見分け方
- 膝痛を悪化させるNG習慣と正しい対処法
- 変形性膝関節症の原因とセルフケア
- 膝にやさしい靴・インソール・サポーターの選び方
などを、整体師の視点から分かりやすく解説します。
膝痛を我慢せず、「正しく動かす・休める・支える」という3つのバランスを意識することで、膝の負担を減らし、日常生活を快適にしていきましょう。
それでは、さっそく見ていきましょう。
膝痛のときは安静?
膝が痛い時は、安静にした方がいい場合と動いてもいい場合があります。
詳しくみていきましょう。
安静にした方がいい場合
安静にした方がいい場合は、次の通りです。
- 熱感や腫れがある
- 歩くと強い痛みが出る
- 体重を乗せると激痛が走る
- 怪我や打撲をした直後
このような症状がある場合は、安静にし冷却をするのがいいでしょう。
動いてもいい場合
動いてもいい場合は、次の通りです。
- 慢性的な膝の違和感
- 痛みはあるが、歩行が可能
- 特に腫れや熱がない
安静にし過ぎるデメリット
痛いからと言って動きを制限し過ぎないようにしましょう。
安静にし過ぎるデメリットは、次の通りです。
●筋力の低下
膝周囲の筋肉が使われないことで、筋力が衰え、関節を支える力が弱くなる。
●関節の可動域が狭くなる
関節を動かさない状態が続くと、柔軟性が失われ、動きが硬くなる。
●日常動作がさらに困難に
歩く・しゃがむなどの動作がしづらくなり、膝に負担が大きくなる。
「安静=ずっと動かさない」ではなく、必要な時期に適度に休み、その後は段階的に動かすことが重要です。
膝痛でやってはいけないこと
膝痛の時にやってはいけないことは、次の通りです。
- 仙骨座り
- エアロバイク運動
- 安静
- 硬いインソール
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
仙骨座り
仙骨座りとは、腰がずり落ちた座り方のことです。
仙骨座りが習慣化すると、骨盤が後傾し歩行バランスの崩れの原因になります。
なので、仙骨座りはしないようにしましょう。
▶︎関連記事:腰に負担をかけない座り方
エアロバイク運動
エアロバイクでの運動はおすすめしません。
理由は、膝に体重が乗らない運動だからです。
具体的には、エアロバイクは座っての運動です。すると、膝は荷重されず「体を支える力」は鍛えられません。
エアロバイクで鍛えられるのは「太ももの前の筋肉」です。
確かに、太ももの前の筋肉は膝を動かすのに重要な筋肉ですが、「歩く」のに必要な要素の一つでしかありません。
なので、膝痛改善のための運動の一つとして捉えるのがいいでしょう。
エアロバイク運動については、「変形性股関節症とエアロバイク」の記事も併せてご覧ください。
安静
繰り返しになりますが、安静にすることで膝周辺の筋肉やじん帯が弱り、さらに膝に負担がかかる悪循環になります。
もちろん、激痛や膝がパンパンに腫れている時は無理しない方がいいですが、慢性的に膝が痛いなら安静にしていても良くなりません。
なので、膝が痛くても過度の安静には気をつけましょう。
硬いインソール
硬いインソールは入れないようにしましょう。
特に変形性膝関節症であったり、膝痛の原因が腰にある場合に硬いインソールを入れると悪化することがあります。
硬いインソールはアスリートのパフォーマンスUPには効果的ですが慢性痛では効果を得にくいことが多い。
もし、インソールを入れるなら薄めの柔らかいのがいいでしょう。
インソールについては、「変形性股関節症とインソール」の記事も併せてご覧ください。
膝痛におすすめの靴
膝痛におすすめの靴は、ウォーキングシューズです。
ウォーキングシューズの特徴は、次の通りです。
- クッション性がいい
- かかとがしっかりとしている
- 推進力をサポート設計
ウォーキングシューズは、歩行時の衝撃を緩和し、前に進む力をサポートする作りになっていて疲れにくい。
おすすめの靴は「ニューバランス880」です。
気になる方は、下記の記事もチェックしてみて下さい。
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膝関節痛の原因・症状
ここでは、膝痛について詳しくみていきましょう。
膝痛の原因
膝痛の原因は、次の通りです。
●膝が痛くなる原因
- じん帯や筋肉が弱い
- ちょこちょこと動く
- デスクワークで曲げ放し
- 股関節が外を向いている
- 重心バランスの乱れ
- 腰、股関節、足首からの影響
- 繰り返し使う
- ケガ(転倒して打つ)
- 過去のケガ、半月板
- 痛風
膝痛が悪化すると、「膝に水が溜まる」「半月板損傷」「変形性膝関節症」と進行することがあります。
膝痛の症状
膝痛の症状は、次の通りです。
●よくある膝関節の症状
- 膝の内側の痛み
- 太ももの外側に張りや痛み
- 膝裏のだるさ・引っかかり感
- すねやお皿の下の違和感
- 階段の上り下りで膝がパキパキと鳴る
これらの症状が1つだけ出る方もいれば、複数の症状が重なる方も多いです。
変形性膝関節症の原因・症状
ここでは、変形性膝関節症について、詳しくみていきましょう。
変形性膝関節症の原因
変形性膝関節症は、上記の膝痛の原因が複数の要因が組み合わさって発症・進行します。
痛みや症状が起きるのは急かも知れませんが、長い期間をかけて徐々に進行して軟骨がすり減り、変形性膝関節症となります。
変形性膝関節症の症状
変形性膝関節症の症状は、次の通りです。
- 膝の内側がズキズキと痛む
- O脚になる
- 太ももの外側が重だるい
- 膝の裏に違和感や張りを感じる
- 正座ができない
- 階段の上り下りがつらい
初期は軽い違和感でも、進行するほど日常生活に支障をきたすようになります。
変形性膝関節症は治る?
変形性膝関節症で、すり減った軟骨を元に戻すことはできません。
しかし、進行を止めたり、痛みを軽減させることは可能です。
特に重要なのは、「膝に負担をかけない生活習慣」と「歩行バランス・筋力の見直し」です。
●現状維持のための改善ポイント
- 片足重心・猫背・内股歩きなどの姿勢や動作のクセを改善
- 適切な靴選びと
- ウォーキングやストレッチなどの運動習慣
変形性膝関節症は手術が必要?
変形性膝関節症と診断されると、「手術をしないといけない?」と思う方もおられると思います。
結論としては、変形性膝関節症と診断されてもすぐに手術が必要なわけではありません。
まず保存療法(生活習慣の改善、痛み止めの服用、運動療法、ストレッチ、体重管理)で経過をみます。
保存療法を行うことで、膝関節の動きを維持し、進行を遅らせることは可能です。
一定期間の保存療法を続けても痛みが強く、歩行が困難になったり、日常生活に大きな支障が出てきた場合は、手術が検討されます。
●手術を検討すべきタイミング
- 日常生活に大きく支障が出ている
- 関節の隙間が完全に消失している
- 痛みで運動やリハビリができない
- 保存療法で改善がみられない
手術には入院やリスクが伴うため、生活状況や症状の程度に合わせて慎重に検討することが大切です。
また、医師によって見解が違うので、セカンドオピニオンとして複数の医師の意見を聞くことも大切です。
「股関節の痛みが続くけれど、手術は本当に必要?」 「整形外科を受診したらお薬とシップを出されて、痛みが続くようなら手術をしましょうと言われたけど、本当に手術をしないといけないの?」 そんな[…]
手術のメリット・デメリット
手術のメリット・デメリットを見ていきましょう。
●手術のメリット・デメリット
メリット
- 強い痛みからの解放
- 効果が明確で、改善を実感しやすい
- 生活範囲が広がる
デメリット
- 入院・リハビリが必要
- 片足をかばうことで他の関節に負担がかかる
- 手術後も体の使い方の改善は必要
手術は膝の状態、年齢、ライフスタイルにより個人差があるので、専門医と十分に相談して検討するのがいいでしょう。
また、医師により方針が違うので、セカンドオピニオンなどを活用にいろいろな角度から検討することも大切です。
半月板損傷の原因・症状
ここでは、半月板損傷について詳しく見ていきましょう。
半月とは
半月板とは、膝関節にある軟骨の一部で関節にかかる衝撃を分散する役割を果たしています。
この半月板が損傷すると、膝に強い痛みや動作制限が起こります。
半月板損傷の原因
半月板が損傷する原因は、次の通りです。
- 激しいスポーツやジャンプの繰り返し
- 怪我や転倒などの外傷
- 加齢による劣化・摩耗
- 股関節や腰のアンバランスによる膝のねじれ
半月板はスポーツで損傷するイメージがあるかも知れませんが、股関節や腰の影響により、普通に生活しているでけでも損傷することがあります。
半月板損傷の症状
半月板損傷の症状について見ていきましょう。
- 曲げ伸ばし時に膝がズキッと痛む
- 階段で「引っかかる感じ」がある
- 膝が突然ロックされて動かない
半月板損傷の有無を正確に判断するには、整形外科でのMRI検査などの画像診断が有効です。
膝関節痛は温める?冷やす?
膝痛の時は「冷やす」方がいい。
特に「腫れている・触って熱感」がある場合は冷やす方がいい。
ま熱をも持つと細胞の働きが悪くなり修復機能が低下し痛みが治りにくくなります。
なので、膝痛の時は冷やす方がいい。
▶︎関連動画:膝の水の対処法
膝痛とサポーター
膝に痛みがある場合でもサポーターは着けない方がいい。
理由は、サポターを着けることが根本改善にならないから。
具体的には、サポーターを着けることで一時的に痛みが緩和されたとしても、サポーターを外して日常生活するとまた痛みを繰り返します。
つまり、サポーターを着けることが根本改善にならず、結局、サポーターが手放せなくなります。
もし、サポーター着けるなら期間を決めてつける方がいいでしょう。
サポーターについては「股関節痛とサポーター」の記事も参考にしてみて下さい。
膝痛を改善するのに筋トレをした方がいい?
膝痛を改善するのに筋肉をつけるなら、「ウォーキング」がおすすめ。
理由は、膝痛改善に必要なのは日常生活に必要な筋肉だから。
特に「筋トレ」のような筋肉を肥大させ強くする運動は瞬発力を発揮するのに向く運動。
しかし、日常生活必要な筋肉は、家事をしたり、お買い物に行くのに使う筋肉。
なので、膝痛改善するのに運動をするなら筋トレよりもウォーキングがおすすめ。
ウォーキングについては、「ウォーキングのやり方」の記事も併せて参考にして下さい。
膝痛に水中ウォーキングは効果ある?
膝痛改善に水中ウォーキングはおすすめしません。
なぜなら、水中では膝に負荷がかからないから。
また、歩行バランス機能も回復しないから。
日常生活は水中ではなく地上で膝に負荷をかけながら生活をしています。
水の中で動ける体と地上で動ける筋肉や体は別です。
なので、水中ウォーキングは膝に負荷のかからず運動中に「痛み」を感じにくが、膝痛を改善するなら負荷をかけながらの運動の方がいい。
水中ウォーキングについては、「変形性股関節症とプール運動」の記事も併せてご覧ください。
まとめ
この記事では、「膝が痛いときは安静にすべきか?」「変形性膝関節症は歩いていいの?」「靴やインソールは何を選べばいいの?」と悩んでいる方に向けて、膝痛との向き合い方と正しいケア方法を詳しく解説しました。
要点をまとめると、次の通りです。
- 激しい腫れや痛みがあるときは安静を、それ以外は適度に動かす方が効果的
- 間違った安静や悪い姿勢(仙骨座り・硬いインソール)は、膝痛を悪化させる
- 膝にやさしい靴(クッション性・かかと安定・推進力サポート)が大切
- サポーターやエアロバイク、水中運動は一時的補助にはなるが根本改善にはつながりにくい
- 筋トレよりウォーキングで、日常動作に必要な筋肉をつけるのが最適
つまり、膝痛の改善には「動かす・支える・休める」のバランスが重要で、無理に我慢せず、体の状態を見極めて行動することが回復の近道です。
もしあなたが、「このまま膝が悪化したらどうしよう…」と不安を抱えているなら、今日から歩き方・靴・姿勢を見直すことから始めてみてください。
体を支える土台が変わると、膝の未来も変わっていきます。
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