股関節痛を抱えていると、どの運動が良くて何が悪いのか迷いますよね?
「この運動なら大丈夫だろう」と始めたものの、かえって症状を悪化させてしまった経験がある方もいるかもしれません。
●記事のポイント
1. エアロバイクやウォーキングマシンは股関節に不自然な負担がかかるため避けるべき。
→ 骨盤や股関節の動きを制限し、痛みを悪化させる可能性がある。
2. ヨガやステップ運動、ハードなスポーツは過度な負荷や伸張で症状を悪化させることがある。
→ 無理な動きや競技レベルの運動は控える。
3. ヒール・高さのある靴、横座りなどは日常的に股関節の動きに歪みを生じさせやすい。
→ 歩き方や座り方の見直しが必要。
4. 股関節が痛くても安静にしすぎるのはNG。
→ 適度に動かさないと関節が固まり、回復を妨げる。
5. 臼蓋形成不全や変形性股関節症では無理な開脚や動きの制限は逆効果。
→ 自分に合ったペースで少しずつ正しく動かすことが大切。
本記事では、股関節痛のときに避けるべき運動と、その理由について詳しく解説します。
また、後半では股関節臼蓋形成不全、変形性股関節症のときについても解説していきますので、ぜひ最後まで読んでください。
それでは、さっそく見ていきましょう。
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股関節痛でやってはいけない運動
股関節痛のときにやってはいけない運動は次の通り。
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
エアロバイク
エアロバイクでの運動はおすすめしません。
具体的には、自転車こぎは「サドルに座って運動」をします。
サドルに座るとちょうど尾骨に当たります。
この状態は骨盤に大きな負担をかけ、股関節の動きにも影響を与える可能性があります。
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ウォーキングマシーン
ウォーキングマシーンは「歩く」動きなのに、おすすめしないのには理由があります。
詳しく解説していきますね。
特徴 | |
ウォーキング | 脚を振り出して骨盤(重心)を前に移動させる。 |
ウォーキングマシーン | 脚を前に出す。すると、地面が動く。 骨盤(重心)は一定の位置を保つ。 |
上記の表にあるように同じような動きでも身体の使い方が違います。
まとめると次のようになります。
- ウォーキング:股関節を軸に身体を動かす
- ウォーキングマシン:足首を中心に身体を動かす。
このようにウォーキングマシンでは足首を中心にして身体を動かしたときは、足首から股関節に力が移動し股関節に負担をかける動きになります。
なので、股関節痛があるときはウォーキングマシンは控える方がいいでしょう。
また、股関節専門医・医学博士のDr. Jimmy先生もウォーキングマシンを推奨されていません。
ステップ踏み
ステップ踏みは太ももの筋肉を付けるにはとても効果的な運動。
しかし、股関節痛を改善する運動としてはおすすめしません。
具体的には片方の脚を踏み込むと反対側のステップが上がり脚が押し上げられます。
下から脚が押し上げられる動きは歩行や日常生活でありません。
なので、股関節痛のときにステップ踏み運動はあまりおすすめしません。
ヨガ
股関節が痛くなると「原因は股関節が硬いから」とヨガやストレッチで改善しようとします。
しかし、股関節痛を起こす原因は股関節の硬さだけではありません。
また、ヨガは筋肉を強く引っ張る動きが多く、普段運動していない人がすると伸ばし過ぎて傷めることもあります。
なので、ヨガは「やってはいけない」訳ではありませんが、伸ばすことを意識して強くやらないようにしましょう。
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柔軟体操
柔軟体操は次の2種類があります。
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
動的ストレッチ
動的ストレッチは「動きのある中」での動き。代表的なものが「ラジオ体操」。
主に関節を動かすことを目的としたストレッチで関節の動きを良くする効果があります。
運動前に行うことでケガの防止やパフォーマンスUPの効果もあります。
股関節痛がある方は関節の可動域が狭くなっているので動的ストレッチがおすすめ。
静的ストレッチ
静的ストレッチは一般的に行われる「柔軟体操」。
筋肉を伸ばすような動きでマッサージ効果やリラクゼーション効果があります。
運動後に行うことで筋肉の緊張を和らげ、筋肉痛防止や疲労を蓄積させない効果があります。
筋肉に対してのアプローチなので股関節痛の直接の改善というよりは、股関節に問題がある状態で動いて周辺の筋肉に負担がかかり、筋肉痛を起こしている場合などに効果的。
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スポーツ
股関節にトラブルがある方のスポーツで気をつけないといけないのが「運動レベル」。
「上手くなりたい気持ちが強い」といつの間にか「健康の運動」よりも「競技」になっていることがある。
自分ではそんなつもりはなくてもオーバーワークになっていることが多い。
Jimmy先生の解説では、「股関節痛改善のためのスポーツは、繰り返しの動作により筋肉の偏りが起こり運動連鎖が崩れえて股関節痛改善には逆効果」とも解説されています。
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股関節痛のときにやってはいけないこと
股関節痛のときにやってはいけないことは次の通り。
●股関節痛のときにやってはいけないこと
- 安静にし過ぎない
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
安静にし過ぎない
股関節に痛みがあると動きたくないと思います。
例えば、手を骨折してギブスするとします。2ヶ月後のギブスを外すと手首はどうなっているでしょう?
正解は関節が固まって動かなくなります。
安静にし過ぎることで固定していなくても同じような状態が起こります。
なので、股関節が痛くても安静にし過ぎないようにしましょう。
安静にするときはどんな時?
安静にし過ぎないとはいえ、安静にした方がいい場合もあります。
こんな時は安静にするようにしましょう。
●安静にする方がいい時
- 医師の指示があった時
- 激痛で動けない時
医師の指示があった場合は指示に従うようにしましょう。
また痛みが強い場合は無理すると良くありませんので安静にしましょう。
しかし、痛みが強い場合でも5〜9日で「痛みが軽減する」ので、その後は無理せずゆっくりと動かすようにしていきましょう。
股関節痛のときに気を付けること
股関節痛のときに気を付けることは次の通り。
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
ヒールを履かない
ヒールでの歩行は「股関節の動きが出ない歩行」になります。
本来の歩行は、腰椎、骨盤、股関節、膝関節、足首と連動した動きで各関節がしっかりと動きます。
ヒールを履いて股関節がしっかりと動かない歩行を続けることで、股関節に負担がかかるので極力履かないようにしましょう。
高さのある靴
高さのある靴(パンプス)もヒールと同様に股関節をあまり使わない歩き方になります。
高さのある靴はヒールを履く習慣があった方が履く傾向にあり、「ヒールじゃないし大丈夫」と思っている人も多いと感じます。
高さのある靴が悪いと言う話ではなく、股関節にトラブルがある方は履かない方がいいでしょう。
座り方
日常生活を「床」で生活する方は座り方に注意しましょう。
具体的には「横座り」「ぺたんこ座り」などは習慣的に座ることで股関節の動きにゆがみを作ります。
また、「脚を組む」のも同じように股関節の動きにゆがみを作るので気を付けましょう。
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体重管理
体重は急激に増えないように気をつけましょう。
特に股関節に症状があると動く量が少なくなります。
すると、体重が増加し股関節に負担がかかるという悪循環になります。
なので体重管理には気をつけましょう。
強く揉む
痛いのは「凝っているからだ」とお尻や太ももを「グイグイ」と揉んだりしないようにしましょう。
そして、その筋肉の硬さがまた痛みを起こす原因になります。
もし、マッサージをするならオイルマッサージのような擦る感じがいいでしょう。
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温める
痛みがある場合は何かしらの炎症がある状態。
特に股関節の奥の方が痛い場合は関節で炎症があるかも知れません。
確かに温めると痛みが軽減するかも知れませんが、それは痛みを感じるセンサーが鈍くなるから。
しかし、温めの効果がなくなると、また痛みを感じるので治ったわけではありません。
また、温めることで炎症が強くなる可能性もあります。
なので、痛みがある場合は温めないようにしましょう。
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サポーターを着ける
痛みがあるとついついサポーターを着けがち。
確かにサポーターを着けて患部を動かさなければ痛みは軽減するかもしれない。
サポーターはその場しのぎにしかならないので、着けるなら着ける場面や期間を決めて着けるようにしましょう。
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お酒を飲む
お酒を飲むとアルコールの効果で炎症が強くなります。
すると、痛みが強くなる、もしくは、酔いが覚めたら痛みを強く感じたりすることもあるので、痛みがある場合はお酒は控えましょう。
また、捻挫や打撲、肉離れなど痛みや腫れが強い場合も同じ。
股関節臼蓋形成不全のときにやってはいけないこと
股関節臼蓋形成不全のときにやってはいけないことは無理に股関節を広げる。
具体的には「あぐら」をしたときに股関節の開きが悪く左右差が見られます。
この左右差が気になり、「ヨガやストレッチで無理に股関節を広げ」ようとして股関節を傷めます。
なので、臼蓋形成不全では股関節を無理に広げようとしないようにしましょう。
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変形性股関節症のときにやってはいけないこと
変形性股関節症のときにやってはいけないことは動きを制限する。
具体的には、「階段を避ける」「歩かない」「しゃがまない」などの動き避けてしまいがち。
もちろん無理はできませんが「変形が悪化したら困る」「痛みが強くなったら困る」と言って自分で動きを制限することで、股関節を使うことが減り動きが悪くなっていきます。
なので、変形性股関節症では自分で動きを制限しないようにしましょう。
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よくある質問
ここでよくある質問にお答えしていきます。
Q1. ウォーキングマシンはNGでも、屋外の平坦なウォーキングなら大丈夫?
A. はい。地面を自分の脚で押し出す自然な重心移動が得られるため、適切なシューズと歩幅(小さめ)を守れば股関節への負担は少なく済みます。
Q2. ストレッチは動的と静的、どちらを優先すべき?
A. 朝や運動前→動的ストレッチで関節を動かす。運動後・就寝前→静的ストレッチで筋緊張をリセット、の順が効果的。
Q3. 階段は避けるべき? それともリハビリとして使った方がいい?
A. 基本はOKです。日常生活で階段を使う生活があるなら必要以上に避けない方がいいでしょう。避けることで階段が使えない体になります。ただし、運動といって無理に使わなくてもいいでしょう。
Q4. ヒールをどうしても履かなければいけない日は?
A. 高さ3cm以下・太ヒールを選び、移動時間を最小限に。職場では低ヒールの室内履きに履き替えると負担を大幅に減らせます。
Q5. 臼蓋形成不全で“開脚NG”なら、可動域アップは諦めるしかない?
A.股関節の開脚には腰痛の可動域も影響します。なので、腰椎の可動域をUPさせることで、股関節の可動域も広がります。また、「なぜ、股関節の可動域を広げないといけないのか?」ってところも十分に考慮しないといけないでしょう。
Q6. 変形性股関節症で“動きを制限しすぎるな”と言われても痛くて怖いです。スタートラインは?
A. 痛みゼロで立位保持30秒がクリアできたら、次にその場足踏み30回。これが問題なければ屋内5分歩行→屋外10分、と段階的に延ばすと恐怖感なく取り組めます。
股関節痛のときにやってはいけない運動(まとめ)
今回は股関節痛のときに避けるべき運動とその理由について解説しました。
⚫️ポイント
- エアロバイク:サドルが尾骨に当たり、骨盤に負担をかけるため、股関節の動きが悪化する。
- ウォーキングマシーン:足首を中心に動くことで、股関節に余計な負担がかかるため、自然なウォーキングとは異なる。
- ステップ踏み:不自然な動きが多く、股関節に負担をかけるため、股関節痛の改善には不向き。
- ヨガとストレッチ:無理に筋肉を引っ張る動きは、普段運動していない人にとってリスクが高い。
- スポーツ:競技レベルの運動は、無意識に股関節に過剰な負担をかけることがある。
股関節痛を改善するにはただ単に動かすだけでなく、股関節の本来の動きである「体重が乗る」「体重が抜ける」「振り子の運動」が大切になります。
良かれと思ってやっている運動が返って股関節が悪くならないように参考にしてみて下さい。