- 股関節痛が痛いのは股関節が硬いから?
- 股関節のストレッチではどんな事に気を付けたらいい?
- 股関節のストレッチの効果的なやり方を知りたい。
こんな、お悩みありませんか?
股関節が痛いのは、「股関節が硬いからだ」と言って、股関節のストレッチをやり過ぎると症状を悪化させることがあります。
実は、股関節ストレッチは「やり過ぎ」に注意が必要です。
本記事のポイント
- 股関節ストレッチのやりすぎによるデメリット
- やっていいストレッチ・避けるべきストレッチの違い
- ストレッチ効果を高めるための正しい頻度と習慣
を、臨床経験にもとづいてわかりやすく解説していきます。
「ストレッチを頑張っているのに、なぜか痛みが取れない…」と感じている方は、やり方や目的を一度見直すことが大切です。
それでは、さっそく見ていきましょう。
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股関節ストレッチをやり過ぎるデメリット
股関節は、非常に可動域が広い関節です。
ゆえに、股関節の構造としてはグラグラの状態です。
周辺の筋肉や靭帯によって、グラグラの股関節を安定させています。
なので、ストレッチをやり過ぎると、筋肉や靭帯が必要以上に伸びてしまい、股関節が不安定になります。
不安定な関節は、日常の何気ない動作でも負担がかかるようになり、かえって炎症や痛みの原因になります。
股関節が柔らかいと股関節は痛くない?
「股関節が柔らかくなれば痛みが取れるはず」と思っていたのに、ストレッチを始めてから痛みが強くなったという声も少なくありません。
上記でお話ししたように、股関節のストレッチをやり過ぎて、不安定になった関節は、日常の何気ない動作で過剰な負担がかかるようになり、かえって炎症や痛みの原因になります。
股関節が柔らかければ良いわけではない理由
「身体が柔らかい=健康」と考えられがちですが、実は柔軟性が高すぎることがリスクになる場合もあります。
たとえば、アスリートやダンサーのように極端に関節が柔らかい人は、関節の可動域が広い分、不安定さを補うために筋力トレーニングでバランスを保っています。
日常生活では、そこまでの柔軟性は必要ありません。
私の臨床経験の中で、ヨガ講師で「180°開脚ができるが股関節が痛い」と訴えられていた方もおられました。
股関節ストレッチの効果的なやり方
股関節ストレッチの効果的なやり方はどんなものなのか、詳しく見ていきましょう。
股関節ストレッチの効果をUPさせるポイント
股関節ストレッチの効果をUPさせるポイントは、次の通りです。
●痛みを我慢しない
→「伸びて気持ちいい」程度で止めるのが。
●反動や勢いをつけない
→関節や靭帯が伸び過ぎてグラグラになる。
●呼吸を止めずにリラックスする
→呼吸を止めると無理が力が入り、逆効果になります。
●左右均等にストレッチする
→バランス良くストレッチする。
●継続することを意識する
→1回で効果は出ません。毎日少しずつがコツ。
股関節に余計な負担をかけず、効果的にストレッチができます。
動的ストレッチと静的ストレッチの使い分け
股関節ストレッチには大きく分けて、以下の2種類があります。
動的ストレッチ | 静的ストレッチ | |
動き | 動きのある中で行うストレッチ | 止まってするストレッチ、一般的な柔軟体操 |
目的 | 筋肉や関節の動きを出す | クールダウン、筋肉疲労を回復 |
場面 | 朝イチ、準備体操、競技前 | クールダウン、リラックス、競技後 |
目的によって使い分けることが大切です。
たとえば、「朝に体をスッキリさせたい」なら動的ストレッチ、「一日の終わりに緊張を和らげたい」なら静的ストレッチが向いています。
▶︎関連記事:寝ながらできる股関節ストレッチ
股関節に痛みがあるときの注意点
「ストレッチをすると股関節が痛む…」という場合、以下の3つを確認してください。
●やりすぎていないか?
→痛みが出るほど強く伸ばすのはNG。
●他人と比べていないか?
→フォームを真似るOK。可動域を比べるNG。
●ストレッチの方向が間違っていないか?
→股関節は「開く」より「動かす」動作が重要。
●炎症やケガが隠れていないか?
→熱感・腫れがあるときは、まず安静と冷却を。
痛みがあるときは、無理にストレッチを続けず、一時中止するようにしましょう。
▶︎関連動画:ストレチをするときに気をつけて欲しいこと
股関節ストレッチをする頻度
基本的には、毎日、股関節ストレッチを行なっても大丈夫です。
例えば、朝、10分、1日の始まりの準備体操として習慣にするのもいいでしょう。
毎日、股関節ストレッチをするなら、次の点に注意しましょう。
- 痛みを我慢しない(「気持ちいい」と感じる範囲にとどめる)
- 反動や勢いをつけない(ケガの原因になるため)
- 「開く」より「動かす」意識を持つ(関節に負担をかけない)
- 他人と比べない
- 1回あたり5〜10分程度が目安
- 動的ストレッチ、静的ストレッチをMIXする
股関節ストレッチの効果を高める習慣・工夫
日常生活のちょっとした習慣や工夫で、股関節ストレッチ効果をさらに高めることができます。具体的にどんなものがあるのか、詳しく見ていきましょう。
姿勢を意識する
日常生活の姿勢を意識すると、股関節ストレッチの効果がさらに高まります。
姿勢を意識するポイントは、次の通りです。
- 両足に均等に体重を乗せて立つ
- 足の親指に体重を乗せる
- 立っている時に足をクロスさせない
- 正しく座る
- 足を組まない
姿勢を意識すると筋緊張の不均衡が起きにくくなり、ストレッチ効果を高めることができます。
▶︎関連記事:股関節に負担をかけない座り方
股関節に負担をかけない靴
合わない靴を履いていると、股関節・膝・腰に余計な負担がかかり、せっかくのストレッチ効果を弱らせてしまいます。
股関節に負担をかけない靴選びのポイントは、次の通りです。
●靴選びのポイント
- クッション性が高い
- 横幅がしっかりフィットしている
- かかとが安定している
- 柔らかすぎず、足全体を支えてくれる
特にニューバランスのウォーキングシューズ(例:NB880)は、股関節痛の方、立ち仕事の方におすすめの一足です。
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なぜ、股関節が硬くなる?
そもそも、どうして股関節が硬くなるのか、詳しく見ていきましょう。
①動かさないことで関節そのものが硬くなる
関節は、「使わないと固まる」性質があります。
たとえば、骨折後にギプスを巻いて1カ月過ごすと、関節が固まって動かしにくくなります。
これは、「関節を動かさなかったことによる拘縮(こうしゅく)」という状態です。
股関節も同じく、長時間、座りっぱなしの生活や同じ動作の繰り返しにより、関節の可動域が狭くなります。
日常生活では、動いているように見えても、それが本来の可動域すべてを使っているとは限りません。
関節を多方向に動かす習慣がないと、柔軟性は徐々に低下していきます。
②筋肉や靭帯の水分不足による柔軟性の低下
水分不足も股関節が硬くなる一因です。
筋肉や靭帯には、しなやかさを保つための水分が必要です。
ここでお話しする「水分」とは、「血液」「リンパ」のことです。
加齢や運動不足により血流が滞ると、筋肉が干物のようにパサつき、伸び縮みしにくくなります。
これは、「水を飲めば解決」という話ではありません。
筋肉や靭帯に水分を届けるのは、血液やリンパの循環が大切です。
つまり、関節や筋肉を動かして「筋肉のポンプ作用」で栄養・水分を股関節に届けないといけないのです。
③もともとの柔軟性には個人差がある
股関節の柔らかさには個人差があります。
関節は「関節包(かんせつほう)」という袋状の組織に包まれています。
股関節の柔軟性は、関節包の柔らかさが大きく関与しています。
この関節包は、年齢とともに硬くなる人が多い一方で、もともと柔らかいままの人もいます。
たとえば、体操選手やバレリーナはこの関節包が柔らかい傾向があります。
つまり、自分の柔軟性を他人と比べて焦る必要はありません。
「ペターッと開脚」は誰にでも必要なの?
一時期「ペターッと開脚」というのが流行しました。
「ペターッと開けば痛みも改善できそう」そう思って、無理に180度開脚を目指した方もおられるでしょう。
しかし、「ペターッと開脚」ができるからといって、股関節痛が軽減するわけではありません。
その理由について詳しく見ていきましょう。
ペターッと開脚はリハビリ目的で作られたものではない
180度開脚は、もともと股関節痛や可動域制限を改善するためのリハビリ体操ではありません。
180°の開脚が効果を発揮するのは、以下のような場面です。
- 体操選手:演技を美しく魅せる柔軟性
- 力士:無理な体勢でもケガをしにくい股関節の可動域
- 野球選手:広範囲の動きでボールをキャッチする動作
つまり、180度開脚は特殊な競技環境で効果を発揮する技術的トレーニングであり、一般の方が痛みの改善を目的に取り入れるのは適切ではありません。
過剰な開脚は股関節をグラグラする
「ペターッと開くことで股関節が柔らかくなる=良いこと」と思いがちですが、股関節は不安定な状態です。
繰り返しになりますが、股関節が柔らかいということが股関節がグラグラで不安定な状態です。
ペターッと開く股関節の状態を例えるなら、周辺の筋肉や靱帯が「ゴムが伸びきった状態」です。
スポーツ選手は強化でカバーしている
ここで、「じゃあ力士や体操選手も危ないのでは?」という疑問が出るかもしれません。
確かに、彼らもストレッチによって関節の可動域を極限まで広げています。
しかし、その後、必ず以下のような筋力トレーニングで股関節の安定性を強化しています。
- 力士:四股やすり足で股関節まわりを徹底的に鍛える
- 体操選手:体幹や内転筋の強化で柔軟性と安定性の両立
つまり、柔らかいだけではパフォーマンスは上がらないということです。
「柔らかいだけで安定性がなければ、むしろケガのリスクが高まる」ことを、スポーツ現場では熟知しています。
180度開脚を無理に目指すことは、一般の方や股関節に不安がある方にはリスクが高い選択です。
まとめ|股関節ストレッチのやり過ぎはNG
股関節ストレッチは、正しく行えば柔軟性を高めて動きやすい体づくりに役立ちます。
しかし、やりすぎると股関節が不安定になり、かえって痛みや炎症を引き起こすリスクがあります。
特に、「ペターッと開脚すれば健康になる」「柔らかければ痛みが消える」という思い込みは要注意。柔軟性と安定性のバランスが取れていなければ、かえって関節に負担がかかります。
日々のストレッチでは、「気持ちいい」と感じる範囲にとどめ、反動をつけず、呼吸を止めず、無理をしないことが大切です。
また、姿勢や靴選び、日常の体の使い方まで意識することで、ストレッチの効果を高めることができます。
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