【すべり症】原因と悪化させない対策をわかりやすく紹介

腰が痛む、足がしびれる、それでも年齢のせいだと我慢していませんか?

 

それは、もしかすると「すべり症」かもしれません。

 

この記事では、すべり症の種類や原因、やってはいけないこと、対策まで詳しく解説します。

 

症状の特徴を知っておくことで、日常の過ごし方を変えるヒントが得られますのでぜひ、最後まで読んでください。

 

それでは、さっそく詳しくみていきましょう。

 

■この記事でわかる3つのポイント

  • すべり症のタイプ(変性・分離)の違い
  • 腰や足に現れる症状とその見分け方
  • 悪化を防ぐために避けるべき行動と生活習慣

 

すべり症とは

すべり症とは

 

すべり症は腰椎(腰の骨)の一部が、その下にある腰椎に対して前後にずれてしまう状態です。

 

ずれによって神経が圧迫されたり、不安定になることで痛みやしびれが生じます。

 

すべり症の種類

すべり症の分類

 

すべり症には、次の種類があります

 

  • 変性すべり症
  • 分離すべり症

 

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

 

変性すべり症

加齢に伴い、椎間板や背骨をつなぐ関節(椎間関節)が変形して不安定になり、椎骨がずれてしまうタイプ。

 

特に中年以降の女性に多く、4番目の腰椎で発生しやすい。反り腰や立ち仕事が多い人はなりやすい傾向があります。

 

腰を反らすと痛みが出る、長時間立っていたり歩いたりすると悪化する足の痛みやしびれ。安静にすると和らぐことが多いです。

 

分離すべり症

分離すべり症は若い頃のスポーツなどで腰椎に疲労骨折(腰椎分離症)が起こり、その部分が不安定になってずれてしまうタイプ。

 

特に、腰を反らす動きが多いスポーツ(野球、バレーボール、体操、柔道、ラグビー)をしていた人に多く発症する傾向がある。

 

初期は違和感や軽い痛み程度で放置することが多く、成人してから何かのきっかけでレントゲン検査を受けて気がづくことが多い。

 

すべり症を確かめる方法

 

すべり症はレントゲン検査が有効的で必要に応じて、CTやMRI検査を行います。

 

腰を反らすと「痛み」「しびれ」が出る場合は、病院を受診し画像検査を受けるのがいいでしょう。

 

すべり症の原因

すべり症の原因

 

すべり症の原因は次の通りです。

 

  • 繰り返しの動作
  • 軟骨のすり減り
  • 筋肉や靭帯の弱る
  • 不良姿勢、体の使い方による負担がかかる

 

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

 

繰り返しの動作

繰り返しの動作により腰の一部ばかりに負担がかかるとすべり症を起こしやすくなります。特に中腰での繰り返しの動きは注意です。

 

例えば、スーパーの品出し、介護は中腰で繰り返しの動きをするのでもの凄く腰に負担がかかります。また、ゴルフも中腰で捻りの動きが入るので注意が必要です。

 

軟骨のすり減り

上記の繰り返しの動作を続けることで、背骨に軟骨である「椎間板」がすり減ると背骨が不安定になり、すべり症を起こす原因になります。

 

筋肉や靭帯が弱る

背骨を支えている筋肉や靭帯が弱ることで、すべり症を起こす原因になります。

 

上記のように使い過ぎですべり症になる方もあれば、逆に運動不足で筋肉や靭帯が弱ることですべり症が起きることもあります。

 

筋肉や靭帯が弱るタイプのすべり症の方は、「腰に負担をかけた覚えはない」と言われることが多い。

 

不良姿勢、体の使い方による負担がかかる

日々の生活の中で、不良姿勢が積み重なることも、すべり症の原因になります。

 

特に反り腰の姿勢で長時間立ち続けることや、イスに浅く腰かけて背中を丸めるクセは、背骨に大きな負荷をかけます。

 

すべり症と腰椎ヘルニアの違い

すべり症 腰椎ヘルニア 違い

 

すべり症は、背骨が前にずれている状態で中〜高校生のスポーツをしている方、中高年の方に多く、腰を反らすと痛みが強くなるのが特徴です。

 

一方、椎間板ヘルニアは、背骨と背骨の間にある椎間板が飛び出して神経を圧迫する状態。

 

10〜30代の比較的若い世代で力仕事をする人に多く、急な腰痛とともに、臀部から太もも、ふくらはぎ、足先にかけての鋭い痛みやしびれが出ることが多いです。

 

前かがみになったり、座っている時間が長かったりすると症状が悪化することがあります。

 

すべり症 椎間板ヘルニア
原因 背骨がずれる クッションが飛び出す
痛みが出やすい動き 腰を反らす 前かがみ
年齢層 中高年に多い
中・高でスポーツをしている人
10〜30代
症状 腰の痛み
足のしびれ
腰の痛み
足のしびれや力が入りにくい

 

すべり症と脊柱管狭窄症の違い

すべり症 脊柱管狭窄症の違い

 

脊柱管狭窄症は、加齢などにより、背骨の中にある神経が通るトンネル(脊柱管)が狭くなり、中の神経が圧迫される痛みやしびれが起きる。

 

加齢による骨の変形、椎間板の膨隆、靭帯の肥厚などが複合的に関与して脊柱管が狭くなります。

 

主に中高年(50代以上)に多い。すべり症が原因で狭窄が起こることもあります。

 

しばらく歩くと足の痛みやしびれ、脱力感が出て歩けなくなり、少し前かがみになったり座って休憩すると症状が和らぎ、また歩けるようになる、という特徴的な症状です。

 

腰には痛みを感じないことが多い。

 

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すべり症 椎間板ヘルニア
原因 背骨がずれる 背骨の中が狭くなる
痛みが出やすい動き 腰を反らす 歩く、腰を伸ばす
年齢層 中高年に多い
中・高でスポーツをしている人
50代〜
症状 腰の痛み
足のしびれ
長く歩けない
足うらの異常感覚

 

すべり症になりやすい人

すべり症になりやすい人

 

すべり症になりやすい人は次の通り。

 

  • 中〜高校生でスポーツをしている人
  • 中〜高校生でスポーツをしていた人
  • 中腰で繰り返しの動きが多い人
  • ゴルフする人
  • 介護する人
  • 長時間立ち続ける人

 

すべり症の症状

すべり症 症状

 

すべり症の症状は次の通り。

 

  • 腰を反ると症状が強くなる
  • 夕方になると症状が強くなる
  • 激痛と緩和を繰り返す

 

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

 

腰を反ると症状が強くなる

すべり症は腰を反ると痛みやしびれが強く出ます。

 

また、洗濯物を干したり、立ち上がりなど腰を伸ばす動作で症状が出る方もあります。

 

腰を反ると痛みが出るので、腰を丸めて猫背になっている人も多い。

 

夕方になると症状が強くなる

朝よりも夕方の方が重だるく感じやすいことも特徴。

 

激痛と緩和を繰り返す

背骨がすべって神経を刺激し炎症ができると、数日は強い痛みが出ることがあります。

 

炎症が治ると何もなく、何かの拍子にまた炎症が起こり強い症状が起きることを繰り返す人もいます。

 

すべり症は手術をしないといけない?

すべり症 手術

 

一定の期間、保存療法を行っても効果が見られず、さらに日常生活に大きく支障をきたしている場合は手術を検討する方がいいでしょう。

 

また、膀胱障害が出ている場合も手術の適応になります。

 

いずれの場合も、医師と十分に話し合いをすることが大切です。

 

すべり症でやってはいけないこと

すべり症 やってはいけないこと

 

すべり症でやってはいけないことは次の通りです。

 

  • 不良姿勢
  • 長時間の同じ姿勢
  • 過度の安静
  • 激しいスポーツ

 

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

 

不良姿勢

不良姿勢は避けましょう。

 

特に「仙骨座り」と言ってイスからずり落ちるような座り方は腰に負担がかかるので避けましょう。

 

仙骨で座る

 

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正しい座り方

 

長時間の同じ姿勢

「座りっぱなし」「立ちっぱなし」など、長時間の同じ姿勢は腰に負担をかけるので避ける方がいいでしょう。

 

もし、「座りっぱなし」「立ちっぱなし」になることが多いなら、「小まめに腰を動かす」ようにするのがいいでしょう。

 

過度の安静

すべり症があるからといって過度の安静にならないようにしましょう。

 

過度の安静になることで、上記でお話ししたように筋肉・靭帯が弱り悪化することがあるからです。

 

激しいスポーツ

激しいスポーツも避ける方がいいでしょう。

 

何を持って「激しいスポーツ」とするかは人によって違うと思います。なので、スポーツをするならしっかりと基礎体力をつけてからする方がいいでしょう。

 

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すべり症を悪化させないために

すべり症 運動

 

すべり症を悪化させないための対策は次の通り。

 

  • ウォーキング
  • ラジオ体操
  • インナートレーニング

 

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

 

ウォーキング

ウォーキングは全身運動で体への負担も少なくできる運動でおすすめ。

 

また、下記でお話しするインナー筋を鍛える運動にもなります。

 

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ラジオ体操

ラジオ体操は筋肉と関節を同時にストレッチできるのでおすすめ。

 

関節がしっかりと動くことで、下記のインナー筋を効果的にトレーニングすることができる。

 

インナートレーニング

筋肉には次の2種類があります。

 

  • アウター筋(表面の大きな筋肉)
  • インナー筋(深部の細い筋肉)

 

インナー筋は体幹と言われることもあり、体を支える役割をしています。

 

インナー筋がしっかりとすることで腰にかかる負担が減ります。

 

おすすめのインナートレーニングは次の通り。

 

  • ウォーキング
  • フロントブリッジ
  • バードドッグ
  • ドローイン

 

また、インナートレーニングをする時は呼吸を意識することも大切。

 

しらひげ鍼灸整骨院での改善方法

すべり症 改善方法

 

すべり症の症状を改善するポイントは「腰の安定」です。

 

当院では、すべり症の方の腰を安定させるために、次の方法を行なっていきます。

 

  • アウター筋を緩和
  • 各関節可動域の回復
  • 運動連鎖の回復
  • インナー筋にスイッチ

 

それぞれ、詳しくみていきましょう。

 

アウター筋を緩和

まずは、アウター筋の緩和を行います。

 

アウター筋が張っていると、下記で行う関節可動域の回復やインナー筋トレーニングが上手くできません。

 

そのため、アウター筋の緩和を行います。

 

各関節可動域の回復

背骨、股関節、膝関節、肩関節の主要関節を動かして、関節可動域を回復させていきます。

 

関節可動域に制限があると、下記の運動連鎖が崩れて、インナー筋も上手く使えず、結果的に腰が不安定になります。

 

なので、すべり症を改善するために関節可動域を回復させていきます。

 

運動連鎖の回復

運動連鎖とは、体の連動した動きのこと。

 

例えば、『歩く』という動作では、膝や股関節、骨盤や背骨が動き、さらに上半身と下半身の捻りなど、さまざまな要素が関係します。これらが連動することで、体はスムーズに動けるのです。

 

運動連鎖がしっかりとできることで、スムーズな体の動きになり、体に負担がかからない動きになります。

 

インナー筋にスイッチを入れる

インナー筋はアウター筋の筋肉のように、自分の意識で動かすことは難しい筋肉です。

 

なので、インナー筋に特化した動きをすることで、脳からの「インナー筋を使え」という指令が伝わりやすくなります。

 

すると、日常生活でもインナー筋を使う体へとなります。

 

インナー筋は奥深いところにあり、体を支える役割があり、日常生活でしっかりと使えることで腰の安定へと繋がります。

 

【Q&A:よくある質問】

 

よくある質問にお答えしていきます。

 

Q. すべり症のしびれは治りますか?

A. しびれは神経の圧迫が原因で起こるため、圧迫が改善すれば軽減する可能性があります。保存療法で効果がない場合は、手術で神経の通り道を広げる方法が検討される。

 

Q. 姿勢を良くするだけでも予防になりますか?

A. 姿勢の改善は非常に効果的である。特に反り腰や前かがみ姿勢が習慣になっている場合は、椎骨への負担が軽減され、症状の悪化を防ぐ効果が期待できる。

 

Q. すべり症は運動で治りますか?

A. 完全に治すことは難しいが、症状を軽くすることは可能です。状態に合った運動や正しい姿勢の見直しによって、背骨の安定性が高まり、神経の圧迫が軽減される。

Q. 痛みが強いときでもストレッチしていいですか?

A. 痛みが強いときは無理をせず、安静を優先するのが望ましい。症状が落ち着いてきた段階で、軽いストレッチやリハビリを再開するのがいいでしょう。

 

すべり症(まとめ)

 

今回は、「すべり症」の症状・原因・注意点について詳しく解説しました。

 

腰の違和感や足のしびれを感じたとき、その背景には背骨のズレが関係している可能性があります。

 

早めに対処することで、悪化を防ぎ、快適な日常を取り戻すことができます。

 

ポイント

  • すべり症には「変性」と「分離」の2つのタイプがある
  • 腰を反らすと痛みやしびれが出やすいのが特徴
  • 原因は加齢、筋力の低下、繰り返しの動作や不良姿勢などさまざま
  • 悪化を防ぐには、不良姿勢・長時間の同じ姿勢・過度な安静を避けることが大切
  • 適度な運動と体幹を支える筋肉のトレーニングが効果的

 

症状が軽いうちに気づき、正しく対処すれば、多くの場合は日常生活を支障なく過ごせるようになります。

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