
「変形性股関節症でも水中ウォーキングなら安心?」「プールに通えば股関節が楽になる?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
水中ウォーキングは関節への負担が少ないイメージがありますが、変形性股関節症の改善という観点では、注意が必要なポイントもあります。
この記事では、変形性股関節症と水中ウォーキングの関係について、メリット・デメリットを正直にお伝えします。
「どんな使い方なら効果的か」「どんな運動と組み合わせるべきか」まで、わかりやすく解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
変形性股関節症に水中ウォーキングは効果的?
結論からお伝えすると、私は変形性股関節症の改善を目的とした運動として、水中ウォーキングを積極的にはおすすめしていません。
理由は、水中では股関節に荷重がかからないからです。
股関節は上半身の体重を受け止める「荷重関節」です。
日常生活では立つ・歩くたびに体重の3〜5倍もの力がかかると言われています。
そのため、股関節の機能を回復させるためには、適切な荷重をかけながら動かすことが大切です。
水中では浮力によって体重の多くが軽減されるため、股関節に必要な刺激が届きにくく、日常の歩行能力の回復につながりにくいのです。
プール運動は補助的な役割として活用する
ただし、水中ウォーキングがまったく意味がないわけではありません。
たとえば、痛みが強くて陸上では全く体重をかけられない時期や、体重管理のための有酸素運動として取り入れる場合は、水中ウォーキングを上手に活用できます。
大切なのは「これだけをやれば改善する」と思い込まず、陸上での荷重運動と組み合わせる視点を持つことです。
水中ウォーキングのメリット
変形性股関節症の方が水中ウォーキングに取り組む際、活用できるメリットをご紹介します。
股関節への負担を大幅に減らして運動できる
水中では浮力のはたらきにより、体重の多くが軽減されます。
目安として、胸の高さまで水に入ると体重の約70%が、おへその高さでは約50%が軽減されると言われています。
医師から「股関節・膝に体重をかけないように」と指示が出ている時期や、痛みが強くて陸上での運動が難しい場合は、水中ウォーキングが安心して取り組める運動法の一つになります。
水の抵抗で全身の筋力強化ができる
水中は前後左右どの方向にも均等な抵抗がかかるため、少ない動きでも多くの筋肉を使います。ゆっくり大きく足を動かすほど、より多くの筋肉に刺激が入ります。
横歩き・後ろ歩き・膝を高く上げる動きなど、さまざまな方向に動くことで、股関節まわりの筋肉をバランスよく鍛えることができます。
ただし、水中で筋力がつくこと自体は良いことですが、変形性股関節症で歩くときの痛みは、筋力強化だけでは改善しないことも多いことを知っておいてください。
カロリー消費が高くダイエット効果が期待できる
水の抵抗は空気の約800倍とも言われており、ゆっくり歩くだけでも陸上より多くのエネルギーを消費します。体重60kgの方が1時間水中ウォーキングをした場合、消費カロリーは約350kcal程度とも言われており、同じペースの陸上ウォーキング(約160kcal)の2倍以上になります。
体重増加が股関節への負担を大きくしている場合は、体重管理の観点からプール運動を取り入れることには意味があります。
リラックス効果・気分転換になる
体を動かすことで気分がすっきりするのは、人間の本来の性質です。
痛みで外出が減りがちな方にとって、プールという環境が気分転換・ストレス解消のきっかけになることもあります。
心の健康を保つためにも、無理のない範囲で身体を動かす習慣は大切です。
水中ウォーキングのデメリット
変形性股関節症の方にとって、水中ウォーキングには以下のようなデメリットもあります。
事前に把握しておくことで、上手な使い方ができます。
日常の「歩く力」の回復には不十分
水中ウォーキングの最も大きなデメリットは、日常生活に必要な「歩く力」がなかなか戻らない点です。
歩くという動作には、筋力だけでなく体幹バランス・荷重に耐える骨・関節の適応・地面の反力に対する反応など、多くの要素が関わっています。
これらは実際に体重をかけて歩くことでしか鍛えられません。
水中で脚の筋肉がついたとしても、陸上での歩行能力の回復は別の問題として考える必要があります。
着替えや移動の手間で続けにくい
プールでの運動には、水着の準備・着替え・シャワー・髪を乾かす時間など、運動以外の手間が多くかかります。
「今日は時間がないから」「面倒だから」という理由でやめてしまう方が多く、継続しにくいのが現実です。
運動は続けることに意味があるため、継続しやすいかどうかも重要な判断基準になります。
隙間時間に手軽にできない
ちょっとした時間に玄関を出てすぐ始められる陸上のウォーキングと違い、水中ウォーキングはプールへの移動が必要です。
天候や施設の営業時間にも左右されるため、毎日継続するハードルが高めです。
水温が低いと逆に関節がこわばることも
冷たい水は筋肉や関節を緊張・収縮させる作用があります。
水温が低いプールでは、股関節まわりがこわばり、かえって動きにくくなることがあります。
水中ウォーキングに取り組む場合は、できれば温水プール(水温30℃前後が目安)を選ぶと、筋肉のこわばりが和らいで動きやすくなります。
水中ウォーキングの時間・頻度の目安
「どのくらいやればいいの?」という疑問は多くの方が持っています。
検索でも「変形性股関節症 水中ウォーキング 時間」というキーワードで多くの方が調べていることがわかります。
水中ウォーキングを取り入れる場合の目安は以下の通りです。
- 時間:1回20〜30分程度(慣れないうちは10〜15分から始めてもOK)
- 頻度:週2〜3回程度。毎日行う必要はありません
- 水深:胸〜おへその高さが目安。深いほど浮力が大きく関節への負担が減ります
- ペース:ゆっくり大きく歩くことを意識する。速さより動きの大きさが大切
痛みや疲労を感じたらすぐに中止し、無理のない範囲で継続することが大切です。
また、水中ウォーキング後は十分な水分補給を忘れずに行ってください。
なお、水中ウォーキングはあくまで補助的な運動です。
陸上での荷重運動(ウォーキングなど)と組み合わせることで、より効果的に股関節の機能回復をサポートできます。
水中ウォーキングで体重が減れば股関節痛は軽減する?
「股関節が痛いのは体重が増えたせいでは?
水中ウォーキングでダイエットすれば一石二鳥では?」と考える方も多いです。
体重管理は確かに大切ですが、それだけで股関節痛がすべて解決するわけではありません。
体重増加だけが原因ではない
体重の増加は股関節への負担を大きくする要因の一つです。
しかし、それだけが痛みの原因でないことが多いのです。
たとえば、左右の体重のかかり方が「右足7:左足3」のようにアンバランスになっている場合、体重が標準でも右側の股関節だけに過度な負担がかかり続けます。
この状態が続くと、体重が減っても痛みが残ることがあります。
体重を減らしても痛みが残るケースも
「体重を減らせば痛みがなくなる」と単純に考えがちですが、体の使い方・姿勢のバランス・筋力の低下・関節の変形の程度など、他にも関係する要因がたくさんあります。
体重管理はもちろん大切ですが、それだけに頼りすぎず、股関節周辺の筋力バランスや骨盤・背骨の動きを整えることが大切です。
体重管理+バランス改善が大切
水中ウォーキングによる体重管理と、陸上での荷重運動・バランス改善を組み合わせることが、最も効果的なアプローチです。
「ダイエットしたから大丈夫」ではなく、「体の使い方も整えていく」という視点を持つことが、股関節への負担を本当の意味で減らすことにつながります。
変形性股関節症におすすめの運動は?
水中ウォーキングと組み合わせて、または代わりに取り入れてほしい運動を紹介します。
ウォーキング
変形性股関節症におすすめの運動の筆頭はウォーキングです。荷重・体幹強化・股関節周辺の筋力強化を同時に行えます。
「痛いのに歩いていいの?」と思われるかもしれませんが、痛みのない範囲でゆっくり歩くことが股関節の機能回復につながります。
歩幅は小さくても構いません。
まずは5〜10分から始めてみてください。
腰伸ばし運動
股関節は骨盤・背骨と連動して動きます。骨盤・背骨の動きが硬くなると、股関節への負担が増します。
特にデスクワークが多い方・腰を反るのが苦手な方は、腰伸ばし運動で背骨・骨盤の柔軟性を取り戻すことが股関節の負担軽減につながります。
ハイハイ運動
ハイハイ運動は股関節と同時に骨盤・背骨・肩甲骨を動かせるため、非常におすすめです。
骨盤・背骨・肩甲骨の動きが改善すると、股関節を安定させるインナーマッスルがうまく機能するようになり、歩くときの股関節の安定性が高まります。
また、ウォーキングよりも股関節の痛みを感じにくいため、「歩くのが怖い」という時期の運動としても向いています。
▶︎関連動画:ハイハイ運動
動的ストレッチ
動的ストレッチとは、体を動かしながら筋肉・関節を同時にほぐす方法です。
代表的なものがラジオ体操です。
静止したまま伸ばす「静的ストレッチ」より、体を動かしながら行う動的ストレッチのほうが、股関節の可動域改善や血流促進に効果的とされています。
朝の習慣として取り入れるのもおすすめです。
よくある質問
Q. 変形性股関節症でも水中ウォーキングはしていいですか?
はい、状態によっては取り入れることができます。
痛みが強くて陸上での運動が難しい時期や、体重管理を目的として行う場合は有効です。
ただし、股関節の機能回復という観点では、水中ウォーキングだけでは不十分なため、陸上での荷重運動と組み合わせることをおすすめします。
必ず担当の医師や施術者に相談したうえで始めてください。
Q. 水中ウォーキングはどのくらいの頻度・時間で行うのがいいですか?
目安は週2〜3回・1回20〜30分です。
初めての方や痛みが強い方は、10〜15分から始めて体の様子を見ながら時間を延ばしてください。
毎日行う必要はありませんが、継続することが大切です。
Q. 水中ウォーキングで股関節痛が改善しないのはなぜですか?
水中ウォーキングは股関節への荷重が軽減された状態での運動のため、日常生活に必要な「歩く力」や「荷重に耐える筋力」が鍛えられにくいためです。
また、体重のかかり方のアンバランスや骨盤・背骨の硬さなど、他の要因も関係している場合があります。
水中ウォーキング単独ではなく、陸上での運動や姿勢・バランスの改善も合わせて取り組むことが大切です。
Q. 温水プールと冷水プール、どちらがおすすめですか?
変形性股関節症の方には温水プール(水温30℃前後)をおすすめします。
水温が低いと筋肉や関節がこわばり、かえって動きにくくなることがあります。
温水は筋肉の緊張をほぐし、股関節まわりがスムーズに動きやすくなります。
Q. 水中ウォーキング後に股関節が痛くなるのは大丈夫ですか?
運動後に一時的な疲労感や軽い筋肉の張りが出る程度であれば、体への刺激として自然な反応と考えられます。
ただし、強い痛み・腫れ・熱感がある場合は運動を中止し、担当の医師や施術者にご相談ください。
「痛みのない範囲で動く」を基本として取り組んでください。
まとめ|変形性股関節症に水中ウォーキングは効果的?
この記事では、変形性股関節症と水中ウォーキングの関係について、メリット・デメリット・適切な活用法をお伝えしました。
- 水中ウォーキングは関節への負担が少なく、痛みが強い時期の補助的な運動や体重管理として活用できる
- ただし、浮力によって荷重が軽減されるため、日常生活の「歩く力」や「股関節の安定性」の回復には不十分
- 水中ウォーキングだけでなく、陸上での荷重運動(ウォーキングなど)を組み合わせることが大切
- 体重管理だけでなく、姿勢・体のバランス・筋力の調整も股関節の負担軽減に欠かせない
- 取り組む場合は週2〜3回・1回20〜30分を目安に、温水プールで無理なく継続することがポイント
- おすすめの運動は「ウォーキング」「腰伸ばし運動」「ハイハイ運動」「動的ストレッチ」を無理なく継続すること
「変形性股関節症=運動NG」ではありません。正しい運動と習慣を身につけることで、関節への負担を減らし、痛みの軽減や進行予防につながります。
まずは「痛みのない範囲で体を動かす」ことから始めてみてください。
その際には、姿勢・呼吸・ゆっくりとしたフォームを意識することが大切です。
股関節の状態や痛みの程度によって、適切な運動の種類・量は異なります。
ご自身だけで判断せず、専門家への相談も大切にしてください。
しらひげ鍼灸整骨院では、変形性股関節症の方の体の状態を丁寧に確認しながら、一人ひとりに合ったアプローチで対応しています。お気軽にご相談ください。



